お知らせ

令和6年度 第1回「学び合いの会」を開催しました

難民事業本部の活動

7月30日(火)19時より、令和6年度 第1回「学び合いの会」を開催しました。

「学び合いの会」は、第三国定住難民を支援する日本語教育コーディネーターおよび日本語教育支援者の方々を対象に、オンラインで交流しながら互いに学びを深める場としてRHQが年に数回開催している会です。今年で4年目の開催となります。

本年度、第一回目は、埼玉県立大学看護学科 教授 齋藤恵子先生より、『異文化背景を持つ女性の妊娠・出産に関する伝統的慣習について』をテーマにご講話いただきました。

齋藤先生は、ご自身が看護師として海外(ラオス)の看護現場に携わった際、日本とは異なる看護のあり方や妊娠・出産に関する考え方の違いと出会ったことをきっかけに、日本国内における異文化背景を持つ女性の妊娠・出産の問題にもより関心を持つようになったそうです。

異文化背景を持つ女性の妊娠・出産に関する困り事には、言葉の壁や医療・お産に関する文化的な信念の違い、宗教上のタブーなどがあり、それらは時に孤独感や葛藤などの困難を妊産婦へもたらしていることが研究で明らかにされています。一方で、異文化背景を持つ女性らが、日本に移住後も母国のお産の伝統的慣習を大切にしており、実践することによって幸福感や安心感を実感していることも報告されています。

齋藤先生は、こうした日本における異文化背景を持つ人々の「個別性の理解と看護・助産ケア」を目指して、在留外国人との学び合いの機会や産科スタッフのための「やさしい日本語」研修などに取り組んでいらっしゃいます。本会では、このような齋藤先生の実体験をベースにしたお話をとおして、外国にルーツがある女性らの個別性に目を向けることの重要性、また、どのような背景を持つ人でも安全・安心に妊娠・出産できる地域社会の必要性について学ぶことができました。

参加者からも、「今支援している方々は単身の女性が多いので、今後は妊娠や出産を経験していくだろう。文化や宗教の違いなど、無理をして合わせようと頑張っているところもあるだろうと改めて考える機会でした。」等のご意見をいただき、大変貴重な時間を過ごすことができました。

定住難民のなかにも日本で妊娠・出産を経験する人がいます。難民事業本部では、今後も難民等の生活に関わる情報にアンテナを張りながら難民等の支援業務に取り組んでいきたいと思います。

【齋藤先生にご提供いただいたスライドより】

 

【ラオスで看護師として活動する齋藤先生】

 

●齋藤先生については、下記リンクよりご参照ください。
埼玉県立大学看護学科/大学院研究科
教授 齋藤 恵子先生

https://www.spu.ac.jp/academics/db/tabid334.html?pdid=143sai