難民とは

難民条約*注1では、難民を「人種、宗教、国籍もしくは特定の社会的集団の構成員であることまたは政治的意見を理由に迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有するために、国籍国の外にいる者であって、その国籍国の保護を受けることができない者またはそのような恐怖を有するためにその国籍国の保護を受けることを望まない者」としています。

*注1:1951年の「難民の地位に関する条約」、1967年の「難民の地位に関する議定書」により、難民の法的保護、地位などの定義が規定されています。日本は1981年に加入。

国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の統計によると、2023年末現在、紛争や迫害により故郷を追われた人の数は1億1,730万人にのぼります。その内UNHCRが保護と援助の対象としている難民は約3,160万人います*注2

このほかにも、多くの人たちが避難を余儀なくされていると推定されています。このような難民や国内避難民に対して、UNHCRを中心に、日本を含めた各国が国際的な保護と救援活動を行っています。

*注2 UNHCR, GLOBAL TRENDS 2023より

日本では、1975(昭和50)年のベトナム戦争終結後、インドシナ三国(ベトナム、ラオス、カンボジア)で発生した政変に伴い祖国から逃れてきたインドシナ難民(昭和53年から平成17年までの間で11,319名受入れ)、1982(昭和57)年から難民条約に基づく難民として政府が認定した条約難民が、令和5年末の時点で1,420名はいるほか、2010(平成22)年からは、日本政府が受入れを開始した第三国定住難民(令和6年9月末現在133世帯323名)が我が国に定住しています。

日本政府は、2022(令和4)年3月から、ロシアのウクライナに対する軍事侵攻により、ウクライナから近隣諸国等に避難している者を受け入れることを決めました。2024年5月31日現在、約2,000人*注3のウクライナ避難民が日本に滞在しています。

2023(令和5)年12月1日には、条約上の「難民」ではないものの「難民」と同様に保護すべき紛争避難民などを確実に保護する制度として、補完的保護対象者の認定制度が開始されました*注4。「補完的保護対象者」とは、難民条約上の難民以外の者であって、難民の要件のうち迫害を受けるおそれがある理由が人種、宗教、国籍、特定の社会的集団の構成員であること又は政治的意見であること以外の要件を満たすものです。2024年2月末時点で出入国在留管理庁より公表されている補完的保護対象者認定者数は、累計647人です*注5

*注3. 出入国在留管理庁、ウクライナ避難民に関する情報 https://www.moj.go.jp/isa/support/fresc/01_00234.html

*注4. 出入国在留管理庁、補完的保護対象者任的制度 https://www.moj.go.jp/isa/refugee/procedures/07_00037.html

*注5. 出入国在留管理庁、補完的保護対象者認定申請者数等(2023年12月1日から2024年2月29日までの累計)https://www.moj.go.jp/isa/publications/press/07_00041.html